講演の様子「第21回 産総研・産技連LS-BT合同研究発表会」の産技連ライフサイエンス部会バイオテクノロジー分科会 研究成果・実用化事例発表会において「反復長波長紫外線曝露に応答するヒト培養皮膚細胞のプロテオーム解析」と題して生物応用科の牧野専門研究員が講演しました。

スキンヘルスケアに関連する素材評価を重ねる過程の中で行った紫外線曝露によって皮膚内部で潜在的に進行する光老化現象に着目した研究開発についての講演です。

まず、島根県オリジナル有望素材を発掘するため行った、紫外線B波によるヒト培養真皮細胞の核DNA酸化損傷の修復促進に寄与する県内素材をスクリーニングにより、いくつか有望な素材を見出したのでそれらについて紹介しました。

次に光老化度を推定する技術開発を見据え、長波長紫外線(UVA1)を反復曝露させたヒト培養真皮細胞と表皮細胞のプロテオーム解析を試みにより、安定同位体標識を用いた定量的ショットガンプロテオミクスによって、それぞれの細胞試料から1,472蛋白質と1,582蛋白質を同定し、そのうち比較定量解析から発現が変動する蛋白質としてそれぞれ62蛋白質と16蛋白質を見出したことを報告しました。

今回のプロテオーム解析で見出した蛋白質は、今後別の手法やヒト皮膚から採取した試料を用いて光老化度を検証する過程において手掛かりになるものと考えられます。

UVA1の影響を受ける蛋白質機能(NHDF)
UVA1の影響を受ける蛋白質機能(HaCaT細胞)

研究報告

研究報告第57号

反復UVA1曝露に応答するヒト真皮線維芽細胞とヒト表皮角化細胞のプロテオーム解析(PDF:3,882KB)