技術概要

石炭火力発電所において石炭を燃焼した際に発生する集塵灰を、コンクリート等に利用するための洗浄技術です。

油分付着工程

水と灯油、パイン油を撹拌してこれらを乳化し、次に乳化液と石炭灰を撹拌。この時点での固形分濃度を65~90wt%に調整する。

未燃炭素分離工程

気泡を含む水を洗浄槽の赤矢印まで溜める。次に油分付着工程で得られた湿潤粉体をスラリー化し、それをポンプでタンクに供給する。気泡を含む水の水面が青矢印に到達したら供給を止める。その後10分間静置後、タンク下に溜まった石炭灰を回収。水を溜めた後には撹拌を行わない。

行程説明

PRポイント

  強熱減量(%) 洗浄時間
(分)
処理前 処理後
従来技術 7.72 1.62 30
従来技術 6.84 2.39 30
新技術 13.2 0.50 7
新技術 8.3 0.28 7

洗浄前石炭灰、洗浄・乾燥後石炭灰、未燃炭素乾燥後の写真
洗浄前石炭灰、洗浄・乾燥後石炭灰、未燃炭素乾燥後の写真

洗浄前石炭灰(14.1wt%)のSEM像洗浄前石炭灰(14.1wt%)のSEM像

洗浄後石炭灰(0.6wt%のSEM像洗浄後石炭灰(0.6wt%)のSEM像

  • 油分付着工程での固形分濃度を高める、乳化した油分を利用することで、洗浄後の石炭灰の強熱減量を0.5%近傍まで低下することができた。
  • 未燃炭素除去工程での撹拌を最小限にすることにより、本工程の時間を大幅に短縮できた。
  • 両技術により、従来技術より短時間で低強熱減量の石炭灰を得ることができた。

用途

  • 本技術で洗浄した石炭灰は、生コンクリートやコンクリート二次製品用の混和材として用いることが、最もメリットが大きいと考えられる。
  • 本技術により石炭灰の色が灰色から乳白色に変わることに着目すると、樹脂やペンキ等の増量剤として用いることも可能と思われる。

特許情報

発明の名称 未燃炭素の付着量を低減させた石炭灰の製造方法および洗浄システム
登録番号 特許第6813828号
出願日 平成28年5月16日
権利者 島根県、株式会社藤井基礎設計事務所
発明の名称 分離装置、石炭灰の製造方法、および石炭灰の洗浄システム
登録番号 特許第6975419号
出願日 平成29年3月30日
権利者 島根県、株式会社藤井基礎設計事務所

対応状況

関連特許 許諾実績 実施実績 サンプル提供 デモ機など 展示品

担当科 

所属 電話番号

無機材料・資源科

(0855)28−1309