異物混入はあらゆる製造業で課題となっており、原因究明と対策が欠かせません。産業技術センターでは機器分析を中心に、異物特定のための支援を行っています。

異物混入の例

鉄さび
鉄さび

アルミ片
アルミ片

昆虫
昆虫

動物の糞
動物の糞

PPに混入した油脂PPに混入した油脂

プラスチック片
プラスチック片

分析法

異物成分の推定は、目視、燃焼、磁性判別(磁石)など特別な機器がなくてもできる場合があります。しかし、成分が全く分からない、クレーム対応で科学的根拠が必要、混入源特定のための材質判別を行いたいなどの場合には、機器分析が有効です。

  • 目視判別の例(容器包装内の昆虫の羽)
    容器包装内の昆虫の羽容器包装内の昆虫の羽(目視)
    形状から双翅目(ガガンボ?)の羽と推定。
  • 磁性判別の例(焼き菓子表面の黒色粉)
    焼き菓子表面の黒色粉焼き菓子表面の黒色粉(磁性判別)
    磁性あり。鉄粉と推定。

異物分析では、大きく無機物と有機物に分けて分析法を選択します。無機物はX線による元素分析、有機物は赤外分光分析が第一選択肢となります。さらに他の手法を組み合わせることにより、より詳細な情報を得ることができます。

無機物の分析(構成元素を分析)

対象:金属、土砂、ガラス、塩類など

使用する装置

エネルギー分散型X線分析装置(EDX)

蛍光X線分析装置(XRF)

  • EDX
    EDX

有機物の分析

対象:プラスチック、ゴム、繊維、タンパク質、油脂など

使用する装置

赤外分光光度計(FT-IR)

ラマン分光光度計

  • FT-IR
    FT-IR

異物分析の実際

黒色塊(パン内部から出てきた異物)

バンの異物

蛍光顕微鏡観察
生物の核を染める色素(DAPI)を使った蛍光顕微鏡観察
黄色:酵母、カビ、青:でんぷん粒

走査型電子顕微鏡観察
走査型電子顕微鏡観察
パン生地にカビが生えたものと推定。

金属1(練り製品から出てきた異物)

練り製品から出てきた異物
EDXによる元素分析

EDXによる元素分析
検出元素:クロム、鉄、ニッケル
ステンレスたわしの一部と推定。

金属2(飲料製造工程から出た異物)

飲料製造工程から出た異物
EDXによる元素分析2

EDXによる元素分析
検出元素:アルミニウム、ケイ素
厨房機器の断片と推定。

フィルム状異物(和菓子表面に付着した異物)

和菓子表面に付着した異物
FT-IRによる分析
FT-IRによる分析

スペクトル照合結果:ポリエチレン包装材の破片と推定。

樹脂原料選別不良(再生PSフィルムの不良品発生)

再生PSフィルムの不良品発生
FT-IRによる分析
FT-IRによる分析

スペクトル照合結果:ポリエチレンテレフタレートPETが混入したものと推定。

樹脂異物(弁当に混入した異物)

弁当に混入した異物

EDXによる元素分析3
EDXによる元素分析
検出元素:マグネシウム、ケイ素、カルシウム、鉄

FT-IRによる分析3
FT-IRによる分析
スペクトル照合結果:ポリプロピレン、タルク

タルクをフィラーとするPP樹脂。パレットの破片と推定。

異物混入を減らすために

  • 異物の混入原因となるものを排除
    • 生産ライン・生産工程のチェック・改善
    • 機器、設備の改修・更新
    • 作業員のスキルアップ・気づき
  • 異物発見後の対応
    • 異物の材質調査(産業技術センターで支援)
    • 混入源の推定(原料、機器設備、人)(産業技術センターで支援)
    • 混入原因の特定(老朽化、作業手順、作業員のミス・故意)