スクリーン印刷の適用限界

スクリーン印刷は、タッチパネルの電極や配線形成、加飾等の手法として広く産業利用されている。
一方で、スクリーン版という平板を用いる特性上、平坦な対象物への印刷が主であり、連続した凸面、緩やかな湾曲面に対して用いられることはあるものの、凹面や曲面に対しては印刷が難しいとされていた。
曲面形状へのスクリーン印刷技術について、株式会社曽田鐵工と共同開発を行った。
図1一般的なスクリーン印刷の課題

リバース型転写機構

スクリーン印刷による曲面印刷の手法として、リバースコーターの動きを応用した独自のスクリーン印刷技術を発明
特許第7220404号 画像中継装置および画像形成装置ならびに画像形成方法

リバース型転写機構の原理

リバース型転写機構の原理1
スクリーン印刷によりロール状の転写フィルム上にインクを印刷
リバース型転写機構の原理2
ロールを回転させ、インクを移動させつつ、転写機構の突端部で対象物と接触
リバース型転写機構の原理3
対象物と接触させたまま、転写フィルムと対象物が逆方向に移動することでインクパターンが転写
  • インクは転写フィルムと対象物との間に挟まれることなく、表裏反転せずに、ウェットなまま移し替えが行われる
  • ロール状の転写フィルムの一部に突端部を設け、対象物との接点と鋭角にすることで、対象物の凹面にも追従して転写が可能
  • インクはほぼ全量転写されるため、転写フィルムに再度スクリーン印刷を行うことで連続印刷が可能
  • インクをウェットなまま転写させることができるため、溶媒によるフィルムの膨潤の恐れが少ない

開発機

リバース型転写機を有する開発機を株式会社曽田鐵工と共同開発。
さらに、装置上で対象物の形状をレーザーで認識してデータ化し、独自の形状認識アルゴリズムによって動作プログラムに変換することで、どの様な形状でも即座に印刷可能な改良大型機を開発した。
多様形状印刷転写装置
開発機(左)と改良型大型機(右)

転写サンプル実例

曲面印刷事例
凹凸面が混在する曲面
図6
凹面底部
図7
段差
これまでスクリーン印刷工法が適用できなかった、曲率半径20mmの凹凸面が混在する曲面へも、凸部、凹部ともにパターンが欠損なく転写されており、インクの顕著なにじみ、潰れなども確認されなかった。
また、スクリーン印刷では届かない凹面底部や、段差へも印刷が可能であることを確認した。
テストワークの形状

リバース型転写機構の応用

膜厚変更1
転写フィルム速度に対し対象物速度を早くすると、転写膜厚は薄くなる
膜厚変更2
転写フィルム速度に対し対象物速度を等しくすると、転写膜厚はそのままになる
膜厚変更3
転写フィルム速度に対し対象物速度を遅くすると、転写膜厚は厚くなる
  • 転写フィルムと対象物に速度差を設けて転写することにより、スクリーン版の設計膜厚より厚く(薄く)することも可能

期待される用途

  • 対象物と接触する突端部に可撓性をもたせることで、可展面だけでなく3次元曲面に対しても応用が可能
    • 円筒形や3次元曲面パネルへの電極形成、加飾印刷用途
  • 転写フィルムと対象物に速度差を設けて転写することにより、スクリーン版の設計膜厚より意図的に厚く(薄く)することが可能
    • インキの厚膜化(薄膜化)用途
    • 複数回の重ね印刷が必要な膜厚を一度で印刷できる、既存工程の改善用途

pdfファイル「多様形状印刷転写装置パンフレット」をダウンロードする(PDF:1.1MB)

製品取扱

株式会社曽田鐵工

担当科 

所属 電話番号

有機材料科

(0852)60−5122