
微生物発酵による廃棄物処理
2023年09月13日
はじめに 有機系廃棄物の利用
世界的な脱炭素、資源循環の流れやSDGsへの取組が求められる中、廃棄物処理や未利用資源の活用は、それらの課題の解決につながると同時に、環境対応技術を持つ企業にとっては商機でもある。特に食品残渣等の有機系廃棄物の処理活用について、島根県内には独自に製品開発を行っている企業があり、本研究では、新製品開発や販路拡大を技術的に支援することを目的とする。
食料を例とした有機系資源の消費プロセスにおける状態変化とリサイクル
生物学的汚泥処理

- 温好気発酵装置を有する県内企業と連携
- 資源の永続的な循環を考えると堆肥化(消滅化)が最も優れている。
- 好気的微生物発酵による分解(堆肥化)で減容化され分解産物は肥料として農地還元に利用可能。
高温好気発酵装置
木材チップを微生物担体として使用。
微生物発酵により汚泥を分解し減量化・堆肥化する装置。
日本ミクニヤ株式会社 有機性廃棄物減容化装置「ミシマックス」
微生物による有機物の発酵分解と水分蒸発により、下水汚泥の90%減容化が期待できる。
廃棄物量が削減されるため、排出量を減らし処分コストも削減される。


ミシマックスの海外展開に向けた取組
他国産材の選定
日本国内では、ミシマックス用生物担体として杉チップを使用。
杉の細胞空隙の大きさが微生物の生息に適した大きさであるため。
国外では防疫の関係で杉が使用できないため、現地調達可能な木材チップの選定が必要。

木材の電子顕微鏡写真
スギ(日本) |
マホガニー(ベトナム) |
ラオスヒノキ(ベトナム) |
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SEM x500 |
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杉チップの細胞空隙は大きく、ベトナム国産材のうちマホガニー、ラオスヒノキでは細胞空隙が確認され、ラオスヒノキの方が細胞空隙が大きい。
空隙が確認された木材チップについて模擬発酵装置による発酵試験を実施。
模擬発酵装置による発酵試験


細胞空隙の大きさはラオスヒノキが杉に近いが模擬発酵試験ではラオスヒノキは発酵が進まず、マホガニーの方が生物担体として優れている。
まとめ
- 有機系廃棄物の汚泥処理は微生物発酵による堆肥化が優れており、適用範囲拡大が望まれている。
- 高温発酵装置の海外展開に向け、木材チップの細胞空隙の評価および模擬発酵試験よりベトナム国産材の選定をおこなった。今後、他国産材についても評価していく。
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