残留応力の制御技術と測定技術の向上
材料の残留応力の状態は、加工や経年により寸法が変わったり、耐摩耗性や応力腐食割れなどに大きな影響を及ぼします。本研究により、残留応力を制御する技術と測定する技術の向上を目指します。
非破壊で内部欠陥や内部構造を可視化したいというニーズに対して、エックス線CTスキャナとエックス線透視検査装置で対応しています。レントゲンのように透視やCTスキャナにより任意の断面を観察することができます。透過能力の高いもの、空間分解能が高いものなど対象物や目的に応じて使い分けています。
異物や変色部、表面や断面、破面、欠陥を調べたいというニーズに対して、拡大観察により対応しています。観察可能な大きさや形状に試料を調製することが必要です。比較的高倍率で鮮明に断面観察したい場合はクロスセクションポリッシャー(CP)を、非常に微小な範囲で断面観察したい場合は集束イオンビーム加工装置(FIB)を使用します。観察用機器は目的や倍率により使い分けています。また、必要に応じて元素分析も併用して調査を実施する場合もあります。
適切な前処理を施し、種々のカメラや顕微鏡を用いて観察できます。
アルミに塗装を行った材料に対し、機械研磨のみ行った断面と、その後クロスセクションポリッシャー(CP)を行った断面を電子顕微鏡により観察した同倍率の画像。CPにより研磨痕が無くなっています。
SEM/EDSなどでは、微少な異物でも場所を指定して分析することができます。右の図は金属表面に付着した異物を分析した例です。
集束イオンビーム加工装置(FIB)によって加工したクリップの断面画像。画像はFIBにより取得したもの。非常に微小な範囲での加工が可能で、上図ではクリップに施されためっき膜が観察できます。
含有元素を調べたいというニーズに対して、定性分析や定量分析により対応しています。何の元素が含まれるか調べるためには「定性分析」、元素の濃度を調べるためには「定量分析」を行います。目的に応じて分析機器を使い分けています。
機器名 | 定性 | 定量 | 対象元素 | 試料サイズ(目安) |
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エネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDS) | ○ | ◎ | Na~ | φ300mm×150mm(h) |
エネルギー分散型微小部蛍光X線分析装置(EDS) | ○ | Na~ | 200mm×160mm | |
3次元計測電子顕微鏡(SEM-EDS) | ○ | B~ | φ100mm×10mm(h) | |
高分解能分析走査電子顕微鏡(SEM-EDS) | ○ | B~ | φ30mm×10mm(h) | |
波長分散型蛍光X線分析装置(WDS) | ○ | ◎ | Be~ |
φ50mm×25mm(t) |
炭素硫黄同時分析装置(燃焼法) | ◎ | C,S | 1グラム程度 | |
酸素窒素水素同時分析装置(還元脱離法) | ◎ | H,N,O | 1グラム程度 | |
グロー放電発光分光分析装置(発光法) | ○ | H,Li~ |
φ10mm×3mm(t) |
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ICP発光分光分析装置(発光法) | ○ | ◎ | Li~ | 数グラム程度 |
X線光電子分光分析装置(XPS) | ○ | ◎ | Li~ | φ10mm×3mm(t) |
部品や製品、試験片の強度を調べたいというニーズに対して、強度試験機により対応しています。一軸方向に引張ったり、圧縮したりすることで各種の試験が可能です。必要な荷重やストロークにより試験機を使い分けています。試験によっては治具が必要になることがあります。
万能試験機 万能引張圧縮試験機 強度(圧縮・曲げ)試験機 微小荷重用強度試験機
材料の残留応力の状態は、加工や経年により寸法が変わったり、耐摩耗性や応力腐食割れなどに大きな影響を及ぼします。本研究により、残留応力を制御する技術と測定する技術の向上を目指します。
レーザー加工により精密加工した金属板材を積層する「スタック化工法」について技術開発を行い、2次元(板状)の技術であった板金加工製品を3次元化することで用途拡大を図ります。
高濃度のメッキ対象金属イオン溶液槽(以下、メッキ浴とする)の汚染は、メッキ不良を引き起こす原因となりうるため、メッキ業界にとってメッキ浴の管理は重要な項目の1つです。そこで、メッキ浴組成の簡便な手法として電気化学的手法によるイオン分離検出を試みます。